歯科金属について

歯科金属とは

歯科金属とは、主に保険の治療で使われる「銀歯」が代表的です。銀歯の他には、差し歯をするときに、歯の根に差し込んで土台とする「メタルコア」などがあります。これらの歯科金属は、健康保険が適用となるため、安価というメリットがありますが、様々なデメリットもあります。

歯科金属の種類

金銀パラジウム合金

「金銀パラジウム合金(通称:キンパラ)」はいわゆる「銀歯」の代表格ともいえるほど、日本人のお口の中に最も多く入っている歯科金属です。成分は、金が12%、パラジウムが20%、銀が50%前後、銅が20%前後、その他が数%となっています。
このパラジウム合金は、リンパ球幼若化テストという金属アレルギー検査では、約半数の人に陽性反応が出る金属です。

パラジウムについては、ドイツでは、保健省が歯科界全体に対し、「幼児及び妊婦に、銅を含有するパラジウム合金と、水銀・銀アマルガム合金を使用しないこと」という勧告を行ないました。また、ドイツなどの歯科医療先進国では、パラジウムが体に与える影響を考慮し、パラジウムを含まない金属を使うことを強く推奨しています。

アマルガム

「アマルガム」とは正式には「歯科用水銀アマルガム」といい、主にむし歯を削った後に、歯に充填する歯科金属です。アマルガムは健康保険適用の歯科金属で、これまで多く使用されてきました。特に70年代に、奥歯のむし歯を治療して銀色の詰め物をした場合、ほぼアマルガムだといえるでしょう。
歯科用水銀アマルガムは、現在でも保険が適応するため、歯科医院によっては使用される場合もありますが、その安全性を疑問視する声もあります。歯科用水銀アマルガムは、銀・スズ・銅・亜鉛・水銀などが含まれる合金で、水銀が高濃度に含まれているからです。歯科用水銀アマルガムはお口の中で劣化・腐食しやすいため、人体に影響を及ぼすおそれを指摘されているのです。

アマルガムについては、1998年には、イギリス厚生省は妊婦にアマルガムの詰め物をしないように警告を発しました。医療先進国のスウェーデンでも、1987年に政府が同様の発表をしました。アメリカでも、アマルガムを規制する流れは起きており、コロラド州ではアマルガム充填の制限が法制化されています。

銀合金

「銀合金」は、銀を主成分として、インジウム、イリジウム、パラジウム、スズ、亜鉛などが合わさった合金です。銀合金は金銀パラジウム合金より安価で、柔らかく削りやすいことから、加工が楽なので、主に「金属の土台(メタルコア)」で多く使用されてきました。しかし、銀細工がそうであるのと同様に、変色しやすく、腐食しやすい欠点があります。

※メタルコア(金属の土台のリスク)について

この銀合金のコアの場合は、錆びたり、溶出した成分で歯ぐきが変色してしまう(メタルタトゥ)ことがあります。

また、ブラックマージンといって、歯ぐきと被せ物の隙間が空いて、黒い土台が見えてしまうこともあります。

もうひとつ、メタルコアのリスクとして「歯根破折」があります。メタルコアがまるで「くさび」の様に作用して、根管治療をした歯の根を割ってしまう歯根破折のリスクが高い点があげられます。